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熱性けいれん・
てんかん

子どもの熱性けいれんの時どうしたら?対処法は?

落ち着いて対処することが大切

子どもの熱性けいれの時どうしたら?対処法は?けいれんは突然起こりますし、顔色が悪くなったり意識がなくなったりするので、びっくりされる保護者の方も多いのではないでしょうか。
けいれんが起きた際は、下記のことを守って対処しましょう。

まずは落ち着くことを心がけましょう

けいれんが起きた時、危険を伴う可能性がある状況(火や水のそば、高いところや危険な機械のそばなどでけいれんした場合)であれば、迅速に助けてあげる必要があります。保護者、周囲の大人の方が冷静になることが大切です。

お子さまの身体を横向きにして寝かせる

けいれんの時は吐いてしまうこともあるので、吐いた物が喉に詰まらないように横向きに寝かせましょう。上向きで寝かせると、吐いた物が気道へ入りやすくなり、誤嚥、窒息するリスクが高くなります。

けいれんがどれくらい続いているのか、様子を見る

お子さまがけいれんを起こした際は、けいれんの持続時間をチェックしてください。
けいれんが5分より短く、かつその後の意識がハッキリしている様子(目線が合う、意思疎通ができているなど)を見せていましたら、けいれん後に医療機関へ連れて行ってください。

救急を呼ぶべき目安は?

下記の様子を見せている場合は、迷わずに救急車を呼んでください。

  • けいれんがあって、顔色も悪い
  • けいれんが5分以上も長引いている
  • 2回目の痙攣を起こした
してはいけない事

けいれん時に舌を噛まないようにと、無理やり口の中にタオルなどを入れるのは止めましょう。また、顔色が悪いからといって急に人工呼吸を行うのも厳禁です。
口の中に入れた物で窒息したり、吐いた物が人工呼吸によって気道に入ってしまったりする恐れがあります。

熱性けいれんの前兆はある!?熱性けいれんとは

熱性けいれんは、お子さまが38℃以上の高熱を出して、約24時間以内に意識障害やけいれんが起こることが多い疾患です。生後6か月~5歳ぐらいまでの子どもに多く見られます。
熱性けいれんの30%は2回以上繰り返しますが、成長と共に発症しにくくなります。6歳になる頃には、ほとんど発症しません。
熱性けいれんを起こす子どもは8%おり、その中の2~7.5%がてんかんになると報告されています。

熱性けいれんの症状や予兆

  • 両手足を硬く突っ張らせた後、ガクガクと震わせている
  • 手足がだらんとしていて、意識がなくなっている
  • 白目をむく
  • 目の焦点が合っていない
  • 唇が紫色になる
  • 嘔吐や失禁もみられる
  • 名前を呼んでも反応しない

熱性けいれんの種類

熱性けいれんは「単純型熱性けいれん」と「複雑型熱性けいれん」があります。

単純型熱性けいれん

「複雑型熱性けいれん」の条件に1つも当てはまっていない熱性けいれんです。
発作は15分以内に治まります。また、発熱を伴った発作が1回起こっても、24時間以内に再発することはありません。

複雑型熱性けいれん

下記の3項目のうち、1つ以上当てはまっている場合は、複雑型熱性けいれんと診断されます。

  1. けいれんが身体の半分または一部など、部分的に起こっている。
  2. 発作が15分以上続いている
  3. 1回でも発作が起きると、24時間以内に繰り返し再発する。


遺伝!?熱性けいれんの原因

子どもの脳神経細胞が、急激な体温上昇の変化に耐えられなくなることで発症します。そのため、38℃以上の高熱が出ると、けいれんや意識障害を起こす可能性が高くなります。
なお、熱性けいれんの診断は、他の疾患が原因でないことを確認してからつけられます。
また、熱性けいれんは、遺伝的な傾向があるとも言われています。ご両親や兄弟姉妹が熱性けいれんを経験したことがある場合は、子どもも熱性けいれんを起こしやすくなります。さらに、女児よりも男児の方がかかりやすい傾向があります。

後遺症は残る?

熱性痙攣のほとんどは一過性のものです。ほとんどの子どもが後遺症などを抱えずに、自然治癒されていきます。2~7.5 %の子どもはてんかんへ移行するとされています。

一度に起こる痙攣の時間が長い、熱性けいれんを繰り返す場合などは、座薬(ダイアップ)などで予防することも可能です。

繰り返す熱性けいれんはてんかんに移行する!?

熱性けいれんは乳幼児期のみに起こる疾患ですが、てんかんは発症してから長期的な治療が必要になる疾患です。
また、てんかんと一口に言っても「意識を失いながら全身をけいれんさせる発作」や、「全身の力が抜けて反応が低下する発作」などいろいろあります。

熱性けいれんを経験した子どもは、てんかんになる確率がやや高くなります。てんかんの発症率は、一般的には約1%ですが、熱性けいれんを経験した子どもでは2~7.5%にまで上昇します。しかし、なぜ熱性けいれんを経験した子どもがてんかんを発症しやすくなるのか、その理由は今でもハッキリと分かっていません。

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熱性けいれんを起こさない予防や注意すべきこと

熱性けいれんを予防するには、ジアゼパムやダイアップという坐薬が有効とされています。これらの薬は、発熱の早期(37.5~38℃以上)のうちに使うと、けいれんが防ぎやすくなります。
熱性けいれんの発作が長かった方や、けいれんを2回以上繰り返したお子さまには、予防投与として使うこともあります。

子どものてんかんの特徴は?てんかんとは

子どものてんかんの特徴は?てんかんとは

てんかんは、脳の神経細胞の電気信号が乱れることで、繰り返し発作を起こす脳の慢性疾患の総称です。発作の原因は、未だによく分かっていません。発作時には、身体が震えるだけでなく、「ぼんやりする」「何度も吐く」「目が見えなくなる」などの症状を伴うことがあります。

てんかんと一口に言ってもその種類は何十種類もあり、意外と多くの方がかかっている疾患でもあります。発症者の割合は100人に1人程度で、特に子どもやお年寄りに多く見られます。
また、てんかんは、治ることが少なく、長く付き合っていく必要があります。仕事や運転、妊娠・出産などの人生の節目に、てんかんに合わせた対応をすることが大切です。

こんな症状ありませんか?

以下の症状が何度も見られた際は、放っておかずに医療機関へ相談しましょう。

  • 注意力が散漫になる、ぼんやりしている、記憶を失っている時もある、反応が乏しい
  • 口をモグモグさせる
  • 急に倒れる、つまずく、何度も言葉に詰まる、手先が不器用
  • うなずき、速いまばたきなどの動作を繰り返す
  • 突然お腹が痛くなった後、混乱や眠気、意識の低下が見られる
  • 起床時に、異常な眠気やイライラ感が起こる
  • 視覚や聴覚、味覚、嗅覚、感覚などのおかしさについて、何度も訴える
  • 突然の恐れ・怒りを頻繁に感じる
  • 赤ちゃんが仰向けで眠っている時、両腕でつかむような動きを見せる
  • 赤ちゃんが座っている時、ジャックナイフのような動きをする

診察のときに必要な情報

  • 症状や行動が見られた回数
  • 症状や行動が見られた時に、子どもがどう反応しているのか
  • 症状や行動が見られる最中(またはその後)、子どもが自分の様子について記憶しているのか
  • 可能であれば、動画撮影をしていただければ非常に参考になります。

『けいれん』=『てんかん』ではありません!

てんかんは脳の疾患の一種で、けいれんは症状の名称です。けいれんとは、筋肉が自分の意志とは関係なく力が入ってしまう状態です。
けいれんが起こると、脳が身体を制御できなくなり、手足が勝手に動いたり突っ張らせたり、意識がなくなったり口から泡やよだれが出たりします。

けいれんを起こした時に考えられる病気

けいれん+熱がない

てんかん
急に意識を失ってけいれんを起こした

憤怒けいれん
激しく泣いている時にけいれんした

光過敏性てんかん
テレビを見ている時にけいれんした

脳腫瘍
強い頭痛や吐き気を伴っている

起立性調節障害 
主に立位で失神して、けいれんした

けいれん+熱がある

熱性けいれん
突発性発疹症・インフルエンザウイルス・新型コロナウイルス感染症などで、熱が上がった時にけいれんした

「急性脳炎・急性脳症」もしくは「髄膜炎」
嘔吐や頭痛もあり、かつけいれんが落ち着いた後の意識がぼんやりしている

てんかん、けいれんを起こしたときのチェックポイント

  • けいれんは身体の両側で起こっているか、片側だけで起こっているか
  • 頭、身体に怪我はないかどうか
  • 熱がどのくらいあるか
  • 白目になった時、目がどの方向を向いていたか
  • けいれんがどのくらい続いたか
  • 吐いたかどうか
  • けいれんが治まった後、意識が戻ったかどうか

危険なけいれん、速やかに受診すべき症状

  • けいれんが5分以上止まらない
  • 高熱があり、けいれんが治まっても元気がない
  • けいれんが治まっても意識が戻らない
  • けいれんが治まった後に、また別のけいれんが起こる(24時間以内)
  • けいれんが治まった後も、子どもの顔や唇が真っ黒になる
    (※チアノーゼという危険な状態)

落ち着くことが大切です!救急車の呼び方や持ち物

救急車を呼ぶ時は動揺してしまいがちですが、焦ってしまうと普段できることもできなくなる可能性があります。危険を伴う状況(火や水のそば、高いところや機械のそばなど)でけいれんしている場合は、迅速に危険な状況から助けてあげる必要があります。まずは冷静になることが重要です。

救急車の呼び方

  1. 119番を呼ぶ。メモを用意しておくと、動揺している時でもスムーズに行動しやすくなります。
  2. 「こちら119番です。火事ですか?救急ですか?」と聞かれましたら「救急です」と返しましょう。
  3. 「どうしましたか?」と聞かれましたら「誰が」「いつから」「どうしたのか」「どんな状態なのか」を説明しましょう。
    (例:子どもが5分前からけいれんしていて意識を失っている)
  4. 「場所はどこですか?」と聞かれましたら、住所や場所の目印になるものを教えましょう。
  5. 最後に、名前と電話番号を聞かれますので、冷静に伝えましょう。

サイレンが聞こえた時

  • サイレンが聞こえましたら外へ出て、救急車を誘導しましょう。お1人しかいない場合は、誘導せずにお子さまのそばにいてあげてください。
  • 症状・行った応急手当の内容、既往歴、かかりつけの医療機関名、医師の名前などを救急隊員に伝えてください。

持ち物

救急車を呼んだ後、すぐに入院することもあります。念のため、下記の物を忘れずに持っておくことをお勧めします。

  • 現金
  • 携帯電話・スマートフォン
  • 健康保険証
  • 母子健康手帳
  • 福祉医療費受給者証(乳幼児医療証)
  • お薬手帳
  • 子どもの着替え
  • タオルや手拭き
  • おむつや哺乳瓶・ミルクなど